昨日は「これでいいのか共同親権~離婚後共同親権はもう古い。子どもの声を聞いてください~」に参加して参りました。
これまでも折に触れて「共同親権は百害あって一利なし」と訴えて参りましたが、昨夜ひとり親当事者の皆さんの切実な思いを聞かせて頂き、その思いを強めました。
そもそも、立法事実(立法の必要性)がないのです。
現在は離婚後は単独親権制度ですが、信頼関係が破綻していない元夫婦の皆さんはお互いが望めば協力し合って子どもを育てていらっしゃる。
両当事者が揃って「共同親権が出来ないのはおかしい!」と訴えて裁判を起こしているというケースを見聞きすることはなく、
自分が思うように子どもに会えないという別居親の皆さんが共同親権運動を牽引しています。
単独親権の元でも面会交流は可能ですから、会えないとすると、そもそも面会交流の申し立てをしていないか、したけれど家庭裁判所で会わせないほうが子どもの利益にかなうと判断された方々ということになります。
そうした方々の活動の甲斐あって、
(推進している人々は多くが男性の別居親で、子どもの世話や仕事で目いっぱいの同居親と違って、時間もお金も労力もたっぷりあるので強力なロビーングが可能です。ひとり親でDVから逃れて暮らしている方などは顔も名前も知られては大変なことになるのでロビーングは勿論、取材に応じることも出来ず、メディアでは共同親権を推進する別居親の声ばかりが席巻します)
現在法制審議会では「原則共同親権」という案が示されてしまっています。
離婚の際に協議が整わない場合には、裁判所が共同親権を命ずることもできるというのです。
おかしくないですか?
共同親権にするかどいうかも話し合いがつかない夫婦は、離婚後も何かしらを決定する(居所や医療行為や進学など)たびに合意できず、そのたびに審判や調停を申し立てることとなります。
当事者にも家裁にもあまりにも負担が大きすぎ、非現実的です。
こんなことを国が行おうとしていることが不思議で仕方ありません。現在、法務委員会ではいかに裁判官が不足しているかという議論がなされている真っ最中ですよ?!
更に国のおかしさは、パブリックコメントの扱いでも表面化しています。
報道では、
「個人の意見では反対・慎重の意見が多かったが、団体の意見では賛成・推進の意見が多かった」
という評価が伝えられましたが、実際には団体からの意見というのは全体の約1%しかなかったのです。
なんたるミスリード‼
個人からの意見は約8000件で、団体からの意見は約90件。
約99%を占める個人からの意見の約7割は反対・慎重の意見ということは、パブコメ全体でも約7割が反対・慎重の意見ということです。
にもかかわらず、法務省が公表しているパブコメ概要ではなぜか全体でたった1%の団体からの意見を93.7%も採用して掲載し、
全体で99%の個人からの意見を法務省のパブコメ概要たったの6.3%しか採用・掲載していないのです‼
まさに印象操作\\\٩(๑`^´๑)۶////
賛成・推進の意見を針小棒大に取り扱っているのです。
つまり、国としてなんとしても離婚後共同親権を強行したいということの表れです。
なぜ?
「まぁ国がそういう考えでも私は大丈夫。もう離婚して親権者となっているから」
というひとり親の皆さん。誤解です。
なんと、すでに離婚が成立している家庭も、改めて家裁に訴えて共同親権とすることが可能な仕組みが検討されているのです‼
日本全国に約180万人の未成年の離婚家庭で育つ子どもがいると推定されており、その別居親の内のどれほどの皆さんが共同親権への変更申立てをするか分かりませんが、
離婚済みの人々の変更の訴え➕離婚しようとする人々の申し立て➕離婚してからの何らかの決定時の紛争等々…
合わせるとこれまでとは桁違いの訴えがなされますが、現在の裁判所にそのリソースはありません。
かつ、国会での議論では裁判官の増員も検討されていません。
大丈夫ですか?
これほどの大混乱必至の法改正が検討されているのに、多くの国民がこの問題を認識しておらず、「離婚してもパパとママだよね♡」とぼんやりと良いイメージを持っていることに私は危機感を抱いています。
(新宿でも銀杏が色づき始めました)
まだあります。
離婚後共同親権が導入されると、婚姻時と同じように共同で子育てをするという(幻想ですが)ことですから、「ひとり親」という概念が原則なくなりますよね。
ということは、「共同で子育てしているんだから養育費は払う必要がない」という主張が別居親側から頻発する可能性があります。
更に、児童扶養手当を始めとする様々なひとり親支援施策は不要ということになりませんか?
むしろそうならなければ、別居親は子育てに口を出す権利だけを与えられ、金銭的な負担を負わなくても良くなるということになり、フリーライドとなります。
口だけ出して拒否権を発動できる別居親に代わって、国が子どもの扶養に必要なお金を負担するという構図・・・おかしくないですか?
私は離婚家庭の子どもたちのために必要なのは共同親権ではなく、「両親の争いを目にすることなく、落ち着いて・安心して暮らせる環境」と「養育費の確保」だと思います。
国がたっぷりと養育費を立て替えて、別居親から確実に徴収する仕組みこそが必要なのであって、
共同親権を導入して様々な決定のたびに紛争を激化させることは、百害あって一利なしです。
そもそも共同親権を求める方の多くが主張する、共同親権を求める理由は「子どもに会えないから」というものですが、面会交流と親権とは関係ありません。
11月16日の法務委員会で、国も仁比聡平(日本共産党)議員の質問にはっきりそう答弁しています。
離婚しても、同居親と子どもが別居親の支配から逃れられないようにするのが共同親権制度です。
離婚した父母が十分に意思疎通できず、養育をめぐって適切な合意がとれないおそれがあり、単独親権制度には、子どもの利益を図るための合理性があるのです。
「共同親権にしろと裁判所に命じられたら、それは死ねといわれているのと同じです」
昨日の集会での当事者さんの言葉が胸に迫りました。
離婚後共同親権制度のアメリカでは、離婚後の面会交流・共同監護時に毎年年間60人以上の子どもが命を奪われています。
日本でも面会交流時に同居親や子どもの命が奪われた事件が起きており、今年に入ってからも共同親権を主張していた著名な方が元妻の実家に押し入り、殺人未遂で逮捕されるというショッキングな事件がありました。
同居親や子どもたちの安全安心のためにも、共同親権の導入は取りやめるべきです。このことを多くの皆さんに知って頂けたらと思います。
中には、主たる監護者であったにもかかわらず元配偶者に子どもを奪われ、親権も元配偶者になって子どもに月一度しか会えないから、共同親権にして少しでも子どもに関わりたいという方もいらっしゃいます。
でもそうした方が取るべきは親権者変更の申し立てです。
監護を担っていなかったのに子どもを奪うような相手と共同で子育てなど出来ますか?
共同で子育てが出来ないのは単独親権だからではなく、元夫婦の信頼関係が破綻しているからです。
単独親権の元でも、信頼関係が破綻していないご家庭では、元夫婦で協力して子育てをしているのです。
引き続き、共同親権により苦しむ子ども生み出さないよう、尽力して参ります。