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「自治体議員の皆様へ。トランス排除となり得る陳情・意見書に反対をお願いします~女性トイレの設置維持及びその安全と安心の確保を求める意見書~」

2023年09月15日

連携している自治体議員の方から、こんな意見書案出て来てるよと情報頂きました。

当事者からすると、「あ、トランス排除目的のものだな」とピンと来る、住民からの陳情・議員からの意見書提案です。

今回は「女性トイレの設置維持及びその安全と安心の確保を求める意見書」案です。

当事者でないと、アライ(LGBTに理解があったり好意的であったり、支援して下さる方)であってもうっかり賛成するように、露骨に差別的主張を記載しているわけではありません。

数年前から出されていて、若干異なる場合もあるかも知れませんが大体こんな感じです。

女性トイレの設置維持及びその安全と安心の確保を求める陳情・意見書案一例

令和3年 1 2月1日施行の労働安全衛生規則等の改正により、 事業所の トイレについて 、 男 女 別を 原 則としつつも、 例外的に、 同時に働く労働者が常時 1 0人 以 内 であれば共用のトイレ1個でよいとされ 、さ らに 、 独立個室型のトイレを 設けたときは男女別トイレの設置基準に一定数反映させるとされた 。

この動きは 、 公的な建物 、 公衆便所や大規模小売店舗等の不特定多数が使うトイレにおいても 、 独立個室型のトイレで足りるとの設計を助長し 、さら には男女共用型のトイレで足りるとする 風 潮 を 加 速させる可能性がある 。

女性トイレは 、女性が長年かけて獲得してきたもので あ る 。多くの悲惨な被害を重ねながらも 、 先人の女性達が血と涙を流して闘い 、 設置されてきたもので あ る 。

したがって 、 事業所トイレにおける大原則である「男性用と女性用に区別して設けること」を今後とも崩さず 、 女性トイレはすべからく維持し 、 また女性の安 心安全という権利 ・ 法益を守るべく諸方策をとることは極めて重要で ある 。よって、当市議会は 、国に対し、下記事項について 強く要望する。

1 労働安全衛生規則第 628条及び事務所衛生基準規則第 1 7条 所定の事業所トイレにおける大原則である「男性用と女性用に区別して設けること」 を 、今後ともこれを崩さないこと。

2 公的な建物の 公衆便所や大規模小売店舗等の不特定多数が使うトイレについては 、 女性トイレはすべからく維持し 、ま た 、これらのトイレにおいて 、 女性の安心安全という権利 ・ 法益を守るべく諸方策 を 取 ること。

 

う~ん。
一見問題なさそうだけれどなにかトランス女性を排除する臭いがするような気が・・と感じつつ、文面上は問題がないように見えるので反対しにくいなとお困りの議員の皆様がいらっしゃると思います。

そこで、一当事者の考えではありますが、参考にして頂けるように以下まとめてみましたのでご笑覧下さい。

案に対する意見

私はトランス女性でありますが、当該案同様、女性トイレを維持し安全と安心を確保するための諸方策を取ってもらいたいと考えています。

理由は単純で、個室洋式便器で立小便をするマナー違反の男性も多く、男女共用トイレにおいて、飛散した尿で汚れたトイレを使用したくないからであります。

よって当該案に賛成したいところではありますが、しかし、現在主にネット上で繰り広げられているトランスヘイト・トランスバッシングの状況を考えるとそうはいきません。

LGBT理解増進法が出来ると外見が男性のままのトランス女性が突然今日から俺女!と自称して女性トイレに入って来て性犯罪を犯したり、女装した男性が女性トイレに入りやすくなるので性犯罪を誘発するというのです。

しかし現実のトランス女性は、ある日突然「今日から俺女!」などとして、昨日まで男性として生きてきた者が今日から突然女性トイレを使用するということはありません。

月日をじっくりとかけて、望む性別への移行をしてゆきます。ホルモン療法やカウンセリング・外科的手術など、それぞれが必要な選択を行い、社会との折り合いをつけながら少しづつ慎重に。

そうした月日を経て、周囲に混乱を与えないことを確認しつつ、女性トイレを利用するようになります。

また、性自認に即したトイレ利用を認めると性犯罪が増えるというデータは存在せず、むしろトランスジェンダーが性自認によりトイレを使うことが法的に認められても性犯罪増加にはつながっていないことが指摘されています(犯罪増加につながっていないという調査はあります)。

にもかかわらず、昨今急速に広がった誤解や偏見にもとずくトランスバッシングにより、これまで長らく平穏に女性トイレを使用してきたトランス女性をも排除しようとする人々が存在します。

社会生活上のみならず、法律上も女性として生活するトランス女性に対してすら、

「手術を受けようが、戸籍の取り扱いを変更しようが関係ない。あなたは身体男性だから女性トイレに入ってはならない」

と主張する人々が、信じられないことに存在するのです。

こうした現状を踏まえると、この陳情が求める「女性の安心と安全を確保するための諸方策」の一環として、トランス女性が女性トイレから排除されかねません。

そうした目的ではないというのであれば、以下三点の修正をお願いいたします。

ⅰ タイトルを「女性トイレの設置維持及びそこでのトランス女性を含むすべての女性の安全と安心の確保を求める陳情・意見書」とする

ⅱ 記1に「なお、女性トイレからトランス女性が排除されないよう留意すること」と補記する

ⅲ 記2の「女性」を「トランス女性を含むすべての女性」と修正する

上記修正がなされないのであれば、この陳情・意見書案が、女性トイレからトランス女性を排除するためのツールとされかねないため、反対。

 

女性の安心安全が脅かされているのは本当にトイレの中なのか

そもそも、女性の安心安全が本当に脅かされているのはトイレの中なのでしょうか。

警察庁による令和4年中の迷惑防止条例等違反(痴漢・盗撮)に係る検挙状況の調査結果では、発生場所のトップは電車内で42.1%、次いで路上が20.5%です。

女性トイレという分類が特別設けられていないので、女性トイレがどれほどの発生率か分かりかねますが、個別に分類されていないということは発生率が高いとは言えないからではないでしょうか。

その発生した事案において、トランスジェンダーが犯人であった事例や、犯人が女装をして女性のふりをしていた事例は、全体のどれほどの割合だったのでしょうか。

女性トイレでの安心安全を確保するための諸方策を取るのは当然ですが、トランスジェンダーを犯罪予備軍や犯罪誘発因子とみなす根拠はなく、かつ、犯罪発生率がずば抜けている電車や路上での性犯罪を根絶するための諸方策の検討が優先課題と考えますがいかがでしょうか。

また、2023年6月に発表されたジェンダーギャップ指数は146カ国中125位と過去最低を記録しており、政治・経済分野でいつまでも女性が安心安全に活躍できていない状況が伺われます。

更に、2022年のDV相談件数が8万4496件と19年連続で最多を更新している状況で、家庭の中でも多くの女性たちの安全安心が脅かされています。

トランスジェンダーを犯罪予備軍や犯罪誘発因子のように扱ってトイレに執着して騒ぐのではなく、広く社会に目を向けるべきです。

真に女性が安心安全に生活できる・活躍できる社会を目指して、包括的性教育の実践や、包括的差別禁止法の成立などの諸方策を講じるべきと考えます。

以上。

最後にもう一度お願い

この文章が多くの方に届くことを希望しますが、特に、陳情や意見書の審査に当たられる自治体議員の皆様にお読み頂き、ご賛同いただけることを切に願います。

依田花蓮.

(残暑厳しく、また少し髪を切りました!)